『三州奇談』とはー


『三州奇談』とはー




ブログに『三州奇談』の現代語訳を、順次投稿しています。
ここで改めて『三州奇談』とは、どのような本なのでしょうか。







『三州奇談』を読み始めて10年近くになります。

その『三州奇談』とは、どのような本であるのか、なぜ読んでいるのかということを、ここであらためて書いてみたいと思います。





5年目に、これについて調べたものが一定の分量に達したこともあり、さらにこの分野の研究がそれほど多くはないこともありましたので、これから読む人の一助に、あるいは奇談好きの人のために、1冊のまとめてみようとしました。

自費出版、『堀麦水の「三州奇談」を読む』(一粒書房)です。





その後はライフワークとして、『三州奇談』の各話の現代語訳をしています。



それをもとにして、より多くの人の目に触れるようブログに掲載しています。









この『三州奇談』とはどんな本でしょうかー



『三州奇談』は加賀・能登・越中の奇談を集めた江戸時代の奇談集です。



全国各地には興味深い奇談の数々が残されていますが、金沢には『三州奇談』が語り継がれました。



ここには、この地域独自、固有のものがある一方、ほかの地域と共通のモチーフの話も入っています。





『三州奇談』は加賀・能登・越中の奇談集ですが、金沢の話が多いなどすこし地域のかたよりはありますが、石川県と富山県の各地域の話が網羅されています。









成立は宝暦から安永年間とみられており、十八世紀半ばすぎから後半に書かれました。



本編は正編99話、続編50話からなっており、一話読み切りの形式となっていますので、どこからでも読むことができます。





編著は、堀麦水(17181783)です。

麦水は、金沢・竪町の蔵宿に生まれ、俳諧師・随筆家として活躍し、江戸・京坂にも流寓していました。

当時としては変化にとんだ自由で、知的な人生を送った人物といえましょう。いわゆる地方知識人だったのです。





さらに麦水は、なんと加賀藩主の将棋の師匠として、藩主と席を同じくする機会もあり、家老との交流もありました。





『三州奇談』は、その名のとおり奇談奇聞集ですので、狐狸、天狗などの妖怪、魔所などが登場し、それをとおして地域の伝承・伝説が語られるものです。



しかも、よく読んでゆくと、話の中に歴史・史実が組みこまれているのです。単なる奇談ではないことがわかります。









特筆すべきは、ほとんどすべての話に、地名と年号が記されていることなのです。ここからわかる特定された地域と年代によって、歴史面からの研究が可能となるのです。





こうした背景により、私は、はじめ奇談集『三州奇談』を、金沢大学のゼミで、歴史学の研究対象として読んでいました。





『三州奇談』には、もととなる種本があったようですが、それを増補したのが麦水だと理解してよいでしょう。





『三州奇談』の内容について『石川県史』には、

「荒唐無稽のことと思われるが、それは麦水自身のねつ造ではなく、そうした奇説怪談が民間にあったのを採集したことに、本書の価値と存在の理由がある」(日置謙)との評があります。





こうしたところから、近世知識人として麦水がみた世界、すなわち近世の人々がなにをみて、それについてどのように考えたかを読みとることができます。



また、当時の人々が妖怪の出現をどのようにみて、感じとり、解釈していたかも推し測ることができるのです。





『三州奇談』のアウトラインは、以上です。なお、以前に3回にわたり、より詳しくこのブログに書いていますので、そちらも参照してください。

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