そもそも『三州奇談』とは何か ①

三州奇談とは 1/3

ブログ版『三州奇談』にお越しいただきありがとうございます。

まずは『三州奇談』とはどのようなものなのか、その説明から始めます。


『三州奇談』は加賀・能登・越中の奇談を集めたものです。

全国各地には興味深い奇談の数々が残されていますが、金沢には『三州奇談』が語り継がれまし

た。

ここには、この地域独特のものがある一方、ほかの地域と共通のモチーフの話も入っています。


『三州奇談』の各話を紹介して行く前に、まずこの奇談集がどういうものであるのか、誰が、い

つ、何を、どのように書いたのかについてから始めます

そのあと『三州奇談』にある149話のなかから私が読んだ、面白い、興味ある話を選びだして、奇談

がなにを語っているのか、そこに込められた史実は何であったのかなどを3回にわたり考えてゆきま

す。




1.『三州奇談』は編著・堀麦水の加賀・能登・越中の話
 
これは『三州奇談』のブログである。読み始めて5年だが、これについて調べたものが一定の分量に達したこともあり、さらにこの分野の研究がそれほど多くはないことから、これから読む人の一助になればと考え、まとめてみようと考えた。

『三州奇談』は加賀・能登・越中の奇談集で、すこしかたよりはあるが石川県と富山県の各地域の話が網羅されている。成立は宝暦から安永年間、十八世紀半ばすぎから後半にかけてで、正編99話、続編50話からなっており、一話読み切りの形式となっている。
 
 編著、堀麦水(17181783)は、金沢・竪町の蔵宿に生まれ、俳諧師・随筆家として活躍し、江戸・京坂にも流寓した。当時としては変化にとんだ、自由で知的な人生を送った人物である。いわゆる地方知識人であった。

『三州奇談』は、その名のとおり奇談奇聞集であるので、狐狸、天狗など妖怪、魔所などが登場し、それをとおして地域の伝承・伝説が語られるのである。

しかも、よく読んでゆくと、話の中に歴史・史実が組みこまれていることに驚かされる。単なる奇談ではないのである。
 
 特筆してよいのは、ほとんどすべての話に、地名と年号が記されていることである。この特定された地域と年代によって、歴史面からの研究が可能となる。

『三州奇談』には、もととなる種本があったとされるが、それを増補したのが麦水だと理解してよかろう。『三州奇談』の内容は、「荒唐無稽のことと思われるが、それは麦水自身のねつ造ではなく、そうした奇説怪談が民間にあったのを採集したことに、本書の価値と存在の理由がある」(日置謙)との評がある。
 
 ここからは、近世知識人として麦水がみた世界、すなわち近世の人々がなにをみて、それについてどのように考えたかを読みとることができる。

また、当時の人々が妖怪の出現をどのようにみて、感じとり、解釈していたかも推し測ることができるのである。

つづく




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